2009年11月09日

「なぜ」という質問についての考察

 今日は、NLP(Neuro-Linguistic Programming)やメタ・コーチングにおける「なぜ? (Why?)」という質問についての考察をしておきましょう。 

なぜを五回繰返すTPSはいつでも正しいのか?  

  トヨタ生産方式、いわゆるTPS(Toyota Production System) などを勉強すると、問題や課題に遭遇したとき「なぜ」を五回繰返せ・・・というのがあることをご存知の方も多いでしょう。

 http://tritune.seesaa.net/article/105651498.html  

  もっとも、この是非をとやかく言うつもりはないのですが、単に表面的なやり方だけを真似ると大抵失敗するということになるように思えますので、「なぜ」を五回繰返すということについても、ある前提をもとにして成り立つと考えたほうが良いのではないかとも思ってきます。
 

NLPやコーチングで「なぜ」を聞くなといっている理由は何か? 

l          「地図は領土ではない」ではないという考え方もある  

  冒頭から余談ですが、最近読んだ山口裕之著「認知哲学―心と脳のエピステモロジー」の中でアフォーダンスについて書かれていますが、アフォーダンスは反表象主義(つまり、地図は領土ではないという主義ではない)ということについて書かれていて「環境が情報を持つ」という考え方には強く惹かれるわけなのですが・・・・。
 
http://ja.wikipedia.org/wiki/アフォーダンス
http://www.dan21.com/backnumber/no54/sasaki.html
 

l          ここでは「地図は領土ではない」で考えよう  

  ここでは、この逆のNLPの前提であるコージブスキーの表象主義(地図は領土ではない)を思考の前提として、外的世界で起こることを Logic 、内的世界で起こることを Psycho-Logicとして考えてみましょう。
  

  以下は、「User’s Manual for the Brain 」からの孫引きなのですが、Dennis Chong著「Don't Ask Why?! : A book about the Structure of Blame, Bad Communication and Miscommunication
」 からの引用です。

http://www.amazon.com/Dont-Ask-Why-Communication-Miscommunication/dp/0969559402

 

 Don't Ask Why: A Book About The Structure of Blame, Bad Communication And Miscommunication,
point out that often when we ask the question "Why?"  we are in fact looking for reason and explanations. They conclude that , " Once Your have the reason or explanation, you have thecause. You know what made you do it. The questions 'Why?' therefore seeks the elucidation of relationship between two classes of variables or things: the class of variables that are the cause and the class of variables that are the effects" (p.81) . Thus , asking "Why?", rather than looking solutions to be the problem, will often deepen the problem by eliciting reasonsand justification.

 User's Manual for the Brain  P.145

 
 
簡単に要約しておくと、「なぜ」という質問は実際には、理由と説明を捜し始める。そして、理由と説明が分かると、それが原因だと思ってしまう。つまり「なぜ」という質問は、原因(クラス)と影響(クラス)の関係を見つけるためにある。そして、「なぜ」という質問は、解決策を見つけるよりも、理由と正当化によって問題を深堀する・・・・というようなことが書かれています。 

l          状況によっては「なぜ」の質問は有効ではない  

  これからすると、やはり「なぜ」と聞くことは状況によって問題を孕んでいるように思えますが、個人的には上記にもあるようにPsycho-Logicの世界で以下のように認識するのが問題かなと思っています。
 
 
1. 解決フレームではなく問題フレームで物事を見てしまう。
 (Sleight of Mouthが指向するフレームとは反対)
2. 将来どのようになっていれば良いのかではなく過去にフォーカスしてしまう。
3. コンテキストと直接関係のない自己弁護を行う正当化になってしまうことがある。つまり、事実確認において、問題がどのように起こったのかが歪曲されてしまう。コージブスキーの言うロジカル・レベルの混同が起こる。 

※コーチングの状況で「なぜ」の質問はコンテキストによらない、信念・価値観を確認する場合には有効なケースもある。 

 
 
もっとも成熟度の高い組織だとこういう落とし穴に陥ることは少なくなるのかもしれませんが、やはり、EQのあまりない組織だと「なぜ」を聞いていると責任追及合戦になってしまって、本当の事実が何だったのか?を把握するのが難しくなってくるように思えます。  

  それで、結論としてはこれらを上手く回避するようにすれば良いような氣もしているわけですが、一例としては、
 


l          事実確認としてT.O.T.Eモデルに即した知覚についての質問を行う
l          ディルツの SCORE モデルを使って考える
l          問題分析の後、解決策はTOCの前提条件ツリーを使って未来から現在の方向で考える
l          ニューロ・ロジカル・レベルでロジカル・レベルの混同を無くす
l          etc. 

 
 というようなことを行えば良いのではないかと思っています。 

結論として  

  「なぜ」を五回繰返すやり方は、TOYOTAのような成熟度の高い組織ならいざしらす、通常の組織ではそれに孕む問題を十分考えておかないと難しいのかもしれないなと・・・思ってきます。
 

 余談ですが、ボーイング787が遅れているのも・・・・・・(略 

http://www.zimbio.com/Boeing+787+Dreamliner/articles/6/Uh+Outsourcing+
Problem
 
タグ:NLP
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2009年11月08日

無意識関係のメモ

今日は、個人的なメモの代わりに書いておきましょう。  

 ギリガン博士の著書である「Therapeutic Trances 」の中で主要な意識・無意識の仮説が比較されており、ベイトソンの部分は、意識:デジタル、無意識:アナログというモデルが示されているわけですが、

[Therapeutic Trancesより]
 http://d.hatena.ne.jp/tritune/20090115/1231945229  

[ベイトソンの意識・無意識のモデル]
http://d.hatena.ne.jp/tritune/20090907/1252249213

 現在のところ、個人的に前提としている無意識の考え方は独断と偏見から「Cognitive Unconscious」です。
 
http://violet.berkeley.edu/~kihlstrm/PDFfiles/ScienceCogUncog.pdf   

  もっとも、この論文には、サブリミナルの知覚(Subliminal Perception)や催眠による変性意識についても書いてありもう少し読み込んでみようと思っています。
  

 そして、やはり氣になるのは(意識にのぼらない)無意識による知覚・認識ということになるわけですが、これもあわせて以下の論文をもう少し読み込んでみようと思っています。
 

http://www.arts.uwaterloo.ca/~pmerikle/papers/Merikle.JConsStudies.1998.pdf
http://homepage.psy.utexas.edu/homePage/Class/Psy355/Gilden/jacoby.pdf
http://cognitrn.psych.indiana.edu/rgoldsto/papers/jacoby.pdf
http://www.arts.uwaterloo.ca/~pmerikle/papers/Merikle.ConsCogn.1997.pdf
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2009年11月07日

NLPフレーム・チェンジ書評(その2)

 今日は、先日書いた、「NLPフレーム・チェンジ書評(その1)」に続いて、個人的なメモを書いておくことにしましょう。 

http://tritune.seesaa.net/article/131942398.html  

 まず、本書で氣になるのは、(ミルトン・モデルもトランス・インダクションも無い)言語によるリフレーミングはどうしても意識から入ることになるため、クライアントさんが基本的にはASC(Altered State of Consciousness)ではない状態で活用することになるのだろうな、ということになるのでしょう。
  

 実際にASC為しで言語を活用することが知覚、思考、行動にどの程度影響を与えるのかについては、やはりパロアルト・グループ(MRI)の一人であるPaul Watzlawickの書いた「The art of change: Strategic therapy and hypnotherapy without trance」を手に入れて読んでみないとなんとも言えないのではないかと思っているわけでもあるのですが・・・・
  


 そして、少し視点を変えて以下のリンクに鈴木大拙の著作から、石頭希遷という禅者とその弟子石室善道の逸話が引用されており、ダブル・バインドを伴う禅問答から瞬時に覚りを得るという非常に興味深い例が示されていて、やはりあるコンテキストにおいてダブル・バインドを上手く活用することが視座を変えて氣づきを得るヒントではないかとも思ってきます。
  

ttp://tetsugakuka.seesaa.net/article/119340570.html  

 そして、少し調べてみるとやはりベイトソンの「Toward a theory of schizophrenia」もさることながら、以下の論文にあるように、
 

http://www.freudconference.com/online_papers/Twemlow_Zen_1.pdf
 
 
The paradoxical quality of this death poem by a well-know Zen monk suggests techniques potentially useful in psychotherapy.
 

 
  ダブル・バインドを伴うある意味パラドクスを含む詩が心理療法において有効だと記述されている部分が存在します。
  

 もっとも、以下の論文を読むとやはりシステム思考的に自己と対象として捉えているオブジェクトの間にあえてパラドクスを持ち込むことでサイバネティックス的な関係性が変わることで知覚・認識を変えることができるということになると思いますが・・・
 やはり、「アブダクション」やダブル・バインドを伴う禅問答のような質問を投げかけるとNLP的には深層構造へTD-Searchをかけるようなことが起きているような感じもするわけです・・・・

http://homepage.newschool.edu/~wilder/interactionalparadoxes.pdf
http://www.filoeduc.org/childphilo/n4/NadiaKennedy.pdf
  

  そして、今回のテーマは「言語(による知覚、認識の変容)」ということなのですが、結局最後は、禅問答的なダブル・バインドを超えることがすなわち学習であるという、ベイトソンの学習理論を拡張した理論のプロセスを動かす何かというところに行き着くのだろうなと思っているわけなのです。
  

http://www.sld.demon.co.uk/lrg21st.pdf
タグ:NLP
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2009年11月06日

アントニオ・ダマシオの講演の映像

 今日は、「ソマティックマーカー仮説」の提唱者である神経学者のアントニオ・ダマシオの講演の映像を貼り付けておきましょう。

http://tmin.ac.jp/medical/09/frontal3.html

http://en.wikipedia.org/wiki/Somatic_markers_hypothesis


[Youtube]


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2009年11月05日

「超」MBAの思考法

 今日は自分のメモ代わりに最近読んだ『DIAMONDハーバード・ビジネスレビュー別冊 「超」MBAの思考法』について書いておきましょう。

http://book.diamond.co.jp/cgi-bin/d3olp114cg?isbn=059701109  

 MBAの思考といえば、理路整然とした帰納、演繹法を駆使したロジカル・シンキングや極めてロジカルなフレームワークによる思考という感じがしますが、本書は、もう少し違う視点からの思考法について書かれた書籍です。
  

 個人的に面白かったところを書いておくと、BCGのコンサルタントによる現状打破のアイディアを得るための「メタファー」を使った思考、多摩大学大学院の紺野登氏による、「アブダクション」を使った思考、東大の佐々木正人氏の「アフォーダンス」・・・・というとことでしょう。

http://d.hatena.ne.jp/tritune/20090807/1249570838
http://tritune.seesaa.net/article/131229182.html  

 そして、「メタファー」と「アブダクション」については、いつも書いているNLP(Neuro-Linguistic Programming)における実装例ということで身体知を使って、思考ではなくて、知覚から発想する方法を10月25日のNLPプラクティスでご紹介させていただいたわけなのですが、こういった実装形態は別にしても、「超」MBAの思考法でも同じような方向性で、現状の閉塞感を打破するために、従来の帰納、演繹や直線的な因果関係とは別のところに解決策を求めたというところは興味が尽きないとことでもあります。
  

 もっとも、同じ書籍にスタンフォードの先生による「Evidence-Based Management」ということでとにかくエビデンスに基づいてマネージメントを行いましょうということも紹介されており、

http://www.bus.ucf.edu/dmayer/old%20classes/man6245fall2007/EvidenceBasedManagement.pdf
  

 メタファーやアブダクションとは方向が間逆だと思ったりもするわけですが、やはり選択肢はいくつもあったほうが面白いということなのでしょう。
 
 
 それにしても、BCGのサイトにある "Metaphor Engine"って何だか面白そうだと思います。
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2009年11月04日

NLPフレーム・チェンジ書評(その1)

 今日は、このBlogでも度々紹介させていただいていましたが、最近発刊されたばかりのNLP(Neuro-Linguistic Programming)/NS(Neuro-Semantics)の言語に特化したリフレーミング・パターンについて書かれたマイケル・ホール、ボブ・ボーデンハマー両博士著の「Mind-Lines」の抄訳である「フレーム・チェンジ」について書いておくことにしましょう。

366293.jpg
 http://tritune.seesaa.net/article/128282196.html?1257228955 

個人的に思った本書の特徴 

l        1つの公式7つの方向性26パターンの言語によるリフレーミングに特化 

 本書を手に取られた方は、邦訳されている他のNLP/NSの書籍や書き下ろしの書籍とはあまりにも異なっており、特に言語によるリフレーミングに特化していることに驚かれるでしょう。  

 本書のコピーにあるように、「アメリカの心理職、営業職から管理職、法曹界へと口コミでひろがった非線形型フレームワーク」というように7つの方向性と26のパターンをマスターすればビジネスのコンテキストにおけるリフレーミング程度であれば朝飯前というわけです。
  

 個人的には人との交渉やファシリテーションに活用するだけではなく、自分自身で何かアイディアを考える時にも有効だと感じています。
 

l          発展途上の方法論でコードのハッキングは必須  

 もっとも本書は、解説にもあるように、あくまでも発展途上の方法論であり、これがNLP/NSの全体を表わしているわけでもなければ、これで完成されたわけでもないというところは理解しておく必要があるのでしょう。
  

 つまり、ご自身のNLP/NSのコンポーネントとして活用できそうなところを組み込むなり、カイゼンするなりしていただくというのが本書の使い方というわけなのです。

  これは、先日来日された心理療法家であるシド・ジェイコブソン博士の著作である「Solution States」に書かれている言葉を借りると、IT業界におけるハッカーのように、ロジックを理解した上でNLPのコードをハックすることを楽しむと考えていただければ良いでしょう。

 もっとも、本書の場合、このロジックは、一般意味論や認知言語学やベイトソンやウォツラウイックなどのパロアルト・グループの研究成果ということになるため、その理解は少し骨が折れることになるのかもしれません。

http://tritune.seesaa.net/article/114140772.html


 l          普通に読むと良く出来たクリティカル・シンキング手法  

 また、個人的に思うのは良い意味でも悪い意味でもNLPにありがちな怪しい部分が上手く削られているように思えるため、知らない方が読むと、ご自身の知・情・意の全体を上手く活用した「クリティカル・シンキング」として何の違和感も無く活用していただけるということでしょう。

 つまり、本書は良い意味でも悪い意味でも比喩で言うとデイビッド・ボームの「暗在系」とも言われるNLPの怪しい部分が除かれているように感じるためにある意味、企業研修といった場面でも安心して取組むことが出来るというわけです。
 

個人的にどうハッキングしようかな? 

l          まずは、Sleight-of-Mouthのハック  

 個人的には、まずは、本書の援用元の一つである Sleight-of-Mouthですが、以下リンクのようなロジックで一回ハッキングしてみようと思います。 そのようなわけで、自分用のメモとしてリンクを貼っておきたいと思います。

 http://www.gwiztraining.com/Logics%20&%20SoM.pdf 

l          言語パターンのあるべき姿は非線形ではなくて非二元論なのだろうと思う  

 そして、もう少しそもそも論のところから、怪しくしたらどうなるだろうと考えて見ると色々アイディアが出てくるように思います。
  

 例えば、上記でいう「NLPにありがちな怪しい部分」ということですが、個人的には、コージブスキーやベイトソンの(デカルトの)二元論を超える取り組みというところから来ていると考えています。
 

http://tritune.seesaa.net/article/101529257.html
http://www.generalsemantics.org/gsb/articles/gsb59-awr.pdf 


Korzybski did, it is true, hold himself aloof from the behaviorists of his time,
but he had the advantage of their change of paradigm from Cartesian dualism to the unsplit unity of all phenomena into one domain.

  
 つまり、NLPと言えば、元々、線形-非線形という単にシステム思考で微分・積分・偏微分を駆使する次元の議論ではなく、二元論を超える取り組みがもとになっているという個人的な理解ですが、本書はあくまでも非線形ということが強調されていますから無難にまとめたな・・・と個人的に感じるのでしょう。(もっとも、Mind-Linesについては原本を読んでも、非線形のシステム思考というほうが適切のように思います。) 
   

 そもそも、これは、NLPの共同創始者であるグリンダー博士が言っているように、言語は意識で活用するわけですし、言語を記述したり説明したりしようと考えると、言語を活用するしかないわけですから、中観派の空のモデルと現象学的な手法で純粋体験において変容を促す「Theory U」ならいざ知らず、コージブスキーの尺度では純粋な体験とはロジカル・レベルの違う言語の活用ということでは仕方がないことなのかもしれません。
 

  余談ですが、「NLPフレーム・チェンジ」が理論のひとつとして援用しているレイコフの認知言語学が目指すところも非二元論のようですね。

http://ja.wikipedia.org/wiki/ジョージ・レイコフ

l          6ステップ・リフレーミングの手法を上手く活用する  

 これについてもう少し具体的なことを書いておくと、リフレーミングとは、当初NLPがモデリング対象として家族療法家のバージニア・サティアの「Parts Party」をモデリングしてつくられた「6Step Reframing」による意識と無意識の相互作用を考慮したダブル・バインドの解決にあったわけですから、本書におけるリフレーミングも無意識のレベル(メタ)にあるパートと意識レベルのパートを上手く調整するようなやり方をすることでより良い活用が出来るのではないかと思います。
 

[Parts Party]
http://books.google.com/books?hl=ja&lr=&id=zvzAZzxmWbQC&oi=fnd&pg=PA59&dq=p
arts+party+virginia+satir&ots=s11aLobiAF&sig=OUsWd
QDFWCl1klHlOewOQqjiUDE#v=onepage&q=parts%20party%20virginia%20satir&f=false
 

l          個人的にはミルトン・エリクソンも取り入れたい  

 NLP/NSはボブ・ボーデンハマー、ジョン・バートン両博士のメタ・ステートにおけるミルトン・モデルが存在しているものの、マイケル・ホール博士はメタ・ステートではメタ・クエスチョンを使うような手法であるため、本書では、ミルトン・エリクソンをモデリングした、間接的示唆による催眠誘導(ASC)や催眠の示唆、間接的なダブル・バインドの示唆、アンビギュイティなどは除かれています。
  

http://tritune.seesaa.net/article/113953120.html
 
http://tritune.seesaa.net/article/114016246.html  

 このあたりは、ジェイ・ヘイリー氏の「Zen and art of Therapy」を参照すると、
 
http://books.google.com/books?hl=ja&lr=&id=T1xvhrWHYxUC&oi=fnd&pg=PA24&dq=Zen+Buddhism+and+the
+Psychotherapy+of+Milton+Erickson&ots=RFy3J9LvY-&sig=XSDBwZanG-JBiYtn_yPj7M9lUtg#v=onepage&q=Zen%20Buddhism%20and%20the%20Psychotherapy%20of%20Milton%20Erickson&f=false
  

 小室直樹氏の「数学嫌いな人のための数学」にあるような、「『ある』と同時に『ない』」など、形式論理学を否定する仏教思想(「空」の概念)によるダブル・バインドを伴った公案のような質問や、何を言っているのか分からない無用の用ともいうべきアンビギュイティや、どういう意味にとって良いのか思案するダブル・テイク、トリプル・テイク、や一見わけがわからないけれども含蓄のありそうなメタファーなど氣づきを誘発する意味では、これらが必要のように思えます。
 
 
 このあたりは、怪しいというところでダブル・バインドを誘発する原因にもなるのでしょうから今後の勉強会の課題でしょうし、このあたりが含まれていないことは、本書を読んだ感想としてどう解釈されるのかは読者のご判断に委ねましょう。  

本書をマスターすると何が出来るようになるのか?  

 さて、「本書を活用したリフレーミングにおける効果についての具体的なエビデンスを出せと」言われると、パロアルト・グループあたりまで遡って探すしかないのでしょうが、個人的には、言語からの神経系のフィード・バックを利用してNLP NSで定義されている知覚や認識のフィルター、(1)Perceptual Filter (2) Representational Filter (3) Conceptual Filter を調整し認識の枠組みを変えることで以下のような効果があるのではないかと考えています。
 

http://d.hatena.ne.jp/tritune/20090908/1252335622
 
 
l 非線形的なシステム思考を促す
l 自分やクライアントを制限している信念をメタ認知してそれに氣づくことを促す
l (場合により)このリフレーミング・パターンで制限を外せる
l自分やクライアントの思考の枠組みを動かすことを促す
l思考の盲点に氣づくことを促す
l新しい選択肢や可能性に氣づくことを促す
l問題を解決するためのリソースを探すことを促す
l Etc...
 
 
 
 
そのようなわけで書評(その1)は取りとめもなくつらつらと書きましたが、ご興味のある方は書店で手に取ってまずはパラパラご覧になって見られると良いのではないかと思います。  

 何れにしても、Science and Sanityと認知言語学の読解なしで翻訳しようと思われた勇氣と、原本のバグものともぜず、をここまでの体裁の日本語版に仕上げた翻訳者および関係者の方々・・・・のご苦労を讃えたいと思います。

http://tritune.seesaa.net/article/118472548.html

P.S 本書に登場する「論理的運命」とは以下のリンクに書いていますのでご参照ください。

http://tritune.seesaa.net/article/123007429.html
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2009年11月03日

メラビアンの憂鬱

 今日は、メモ代わりに「メラビアンの法則」に関することを少し書いておきましょう。

様々なセミナー特にNLP(Neuro-Linguistic Programming)のセミナーなどで誤用されているいわゆる「メラビアン」の法則ですが


http://ja.wikipedia.org/wiki/アルバート・メラビアン


Wikipeidaでも指摘されているとおりに以下の点から注意が必要なのでしょう。


・実験の前提条件が無視されて結果だけが一人歩きしている。

・話者の言語メッセージと非言語メッセージが矛盾している一部の状況で発生する。

・非言語メッセージが過度に強調されている。

[Youtube]


 もっとも、メラビアンからしても迷惑であることには変わりないのでしょうが、本当のところNLPの場合は、「The Structure of Magic vol.2」にもあるように、グレゴリー・ベイトソンのメタ・メッセージを含むコミュニケーション理論(特に、メッセージとメタ・メッセージがダブル・バインドを引き起こしている場合)をもとにしており、メラビアンの法則は後付であり、NLPとはあまり関係ないということは理解しておく必要があるでしょう。 


 結局、メッセージとメタ・メッセージを同じグラフに載せているのは、コージブスキーの言う神経論理レベルの混同にあたるわけですし、この区別の意図やダブル・バインドの外し方が分かっていないことには、セミナー屋の腹の足しにはなっても、実生活でも何の役にも立たないというわけなのです。

NLPの理論のもとになっているベイトソンのコミュニケーション理論

[Toward the Theory of Schizophrenia]

http://d.hatena.ne.jp/tritune/20091005/1254668452


[Theory of Play and Fantasy]

ある犬が他の犬に「一緒に遊ぼう」というメタ・メッセージを送るために、相手に本氣で噛み付いていない行為を観察して得られた論文。

http://inkido.indiana.edu/syllabi/games_learning/bateson.pdf

[Note on Double Bind]

ダブル・バインドについての覚え書き。

http://www.columbia.edu/itc/hs/nursing/m4050/baker/8571Su03/Bateson.pdf

[Theory of Mind]

論理階梯、学習理論に関する論文。

http://www.narberthpa.com/Bale/lsbale_dop/learn.htm


 もっとも、こう考えると他人には何かの値や結果といったコンテンツを渡すのではなくプロセスを渡さないと、まさに結果だけが一人歩きしてしまうという良い意味でも悪い意味でも見本なのでしょう。

タグ:NLP
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2009年11月02日

無意識はアンビギュイティ

 今日は、八重洲ブックセンターで待望の「NLPフレーム・チェンジ」を購入したわけですが、これについては後日書くことにしましょう。  

 さて、今日はNLP創始者であるリチャード・バンドラー氏の書籍「Guide to TRANSCE-FORMATION」を読んで氣づいたことをメモしておくことにしましょう。
 

本書にあるミルトン・エリクソンの「無意識」を含んだフレーズの話しですが個人的には
http://www.hypnos.co.uk/hypnomag/whitlark.htm

と整合性が取れているという意味でかなり興味深さを感じました。
 

 
Milton used the phrase “Your unconscious now” (“You’re unconscious now”) many, many times. It’s great ambiguity but as soon as you slam that temporal predicate after the word “unconscious,” it also becomes a command. “  “Your unconscious now ... wants new idea.・・・ 以下略 p.46  

 ミルトン(エリクソン)は “あなたの無意識は、今ここに(あなたは今無意識で・・・※ダブル・テイク)”を何度も何度も使いました。
  これは素晴らしい曖昧さ(アンビギュイティ)です、しかし、一時的な叙述語を”無意識”という言葉に連結して声に出すことで、これは命令ともなるのです。 

  
 もっとも、ここでの面白さは、「無意識」が存在するのか?といったオントロジカルな面はあまり重要ではなくて、単純に、「Your unconscious now.」をアンビギュイティとして曖昧に発音することで、認知科学的には、プロトタイピングやカテゴライゼーションを曖昧にして混乱させているという解釈をNLPの共同創始者であるバンドラー氏自身がエリクソン催眠家の博士号持ちの人達とまったく同じ解釈をしているということなのでしょう。
 

http://tritune.seesaa.net/article/120891476.html

 もっとも、内容としては日本語に翻訳したときにも、二重の意味を持つ、アンビギュイティとして翻訳してさらに、言語として「無意識が・・・」なのか「無意識に・・・」なのか耳をそばだててもわからなくする必要があるのでしょうね・・・
 

http://books.google.com/books?hl=ja&lr=&id=iEcH3P_JN8IC&oi=fnd&pg=PA12&dq=milton+erickson+
ambiguity+cognitive+science&ots=c1zFlAsgM6&sig=PkDSPIbHAbe5oV9nS4
_7ieXn-0Y#v=onepage&q=&f=false
 

[7つのアンビギュイティ]

http://www.hypnos.co.uk/hypnomag/whitlark.htm  

 そう考えると「潜在意識・・・」とか言って叫んでいる自己啓発系の人達は、自分自身も混乱させる認知科学的には新しい種類のアンビギュイティの素晴らしい使い手なのかもしれません。(笑) 

○関連リンク

http://tritune.seesaa.net/article/118408370.html
タグ:NLP
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2009年11月01日

エビデンス・ベースド・コーチング(その2)

 今日は、自分のメモ用にエビデンス・ベースド・コーチングについて由無し事をつらつらと書いておくことにしましょう。  

エビデンス・ベースドに関する個人的な見解  

  個人的には(特に法人やエグゼクティブを対象とした)方法論として品質を担保するためにある程度のエビデンス・ベースドのアプローチは必須だと思っており、これについての自分自身の見解は以下の通りです。
  

http://d.hatena.ne.jp/tritune/20090914/1252854020
  

  確かに、企業の人事担当者や教育担当者からすればコーチングといって、まったく定量的な評価のなされていない「騙されたと思ってまずはやってみてください」では困ることが必死でしょうから、世界的に見て一つの潮流になりつつあるエビデンス・ベースドのアプローチは重要だと思っているわけでもあります。
 

ビジネスにおけるコーチングの価値は金銭に還元できるか?  

  といっても、以下の論文のように、「Can Evidence Based Coaching Increase ROI」と題して、やはり費用対効果を測定するというのはある程度致し方ないのかもしれませんが、

 http://cs3.brookes.ac.uk/schools/education/ijebcm/ijebcm-docs/vol-2-2-laske.pdf  

  個人的には、もう少し、バランスド・スコアカードにあるように、組織の成長や業務や製品、サービスの視点といった、最終的に財務の視点を支えている定性的な部分も大事にしたほうが良いのではないかと考えています。
 

もう少し別のシステミックなつながりといった何かを考えたい  

  話しはこれに関連しますが、少し前にNPOの立上の支援をやらせていただいた時は、やはりドラッカーの「非営利組織の成果重視マネジメント―NPO・行政・公益法人のための「自己評価手法」」とかを参考にしてKPIやKGIを設定していた経験もありますし、以下の論文を見るとやはりすべての団体がROIといった金銭だけで評価できるというわけもないために、それ以外も評価できるようなシステム思考ベースのアプローチを持っておくということも悪いことではないのでしょう。

 http://www.drmanage.com/images/1202965572/Performance%20Management.pdf  

 そして、実際に以下のリンクにあるエグゼクティブ・コーチングの論文を読むと、複数の視座からのフィード・バックにこそ価値があるといことが述べられています。

 http://www.tamu.edu/classes/psyc/payne/PA/Smither%20et%20al.%202003.pdf  

  もっとも、これはコージブスキーが神経にロジカル・レベルが存在するという仮説を立てて、神経学的にロジカル・レベルの混同はいけないといったことや、グレゴリー・ベイトソンが学習理論で異なるロジカル・レベル間のフィード・バックを考えたというところとも共通点があるように思います。 

  つまり、ベイトソン曰く、システム思考とは量より質ということでしょうから、単純に金額に還元できるとうわけでもなく、何か質という価値でもKPIやKGIを設定する必要があるということなのでしょう。

http://www.generalsemantics.org/index.php/component/content/article/18-learning-center/199-ak-sd-hk-al.pdfhttp://www.som.surrey.ac.uk/NLP/Resources/BatesonLevels2006.pdf 

 コーチングと組織?  

  そして、上で書いたこととはあまり関係がないわけで、極個人的な興味の範囲なのですが、やはりエビデンス・ベースド・コーチングといった場合、クライアントさんの組織の形態というのは非常に氣になるわけでもあります。
  以下のUCアーバインのサーバにある推敲途中のような氣もする論文を見ると、コーチングが機能するのは、階層が深くて官僚的な組織なのか?それとも、自律分散的に動作する軽い組織なのか?を比較すると、当然、コーチングやNLP、Neuro-Semanticsは組織のエンパワーメントと深く関わってくるわけでしょうから、ある意味、信念・価値観のレベルのアトラクターが求心力として働いているような、自律分散的な軽い組織こそ変化が容易だろうな・・・とは思ってしまうわけでもあります。  

  もっともこの論文の趣旨は仮想チームといっても顔と顔をつき合わせてアナログのコミュニケーションする重要性を説いているということになります。
 http://web.merage.uci.edu/~cgibson/Publication%20files/Articles/Team%20Empowerment%20in%20Virtual%20Teams.pdf  

コミュニケーションの成熟度を上げるもっと洗練された方法を考えるとしよう  

  もっとも、ここまで考えてくると、そもそも論に戻ってしまうわけですが、やはりPMBOKの領域全体、特にコミュニケーションについてきちんと成熟度をあげていくような方法を考えておく必要があるようにも思ってきます。

 
http://home.gwu.edu/~kwak/pmass.pdf   

  そこで、コーチングの話しはどう関わってくるのか?ということなのでしょうが、やはり組織やプロジェクトをドライブするようなキーとなるような人達の世界観を知りそして、良い意味で影響を与えたいと思うとやはり、エビデンス・ベースドのエグゼクティブ・コーチング自体でお金を取るかどうかは別にして、そのスキルは必須という結論になるような氣もしているわけです。

 http://books.google.co.jp/books?id=kFiizfiMyjYC&printsec=frontcover&dq=evidence+based+coaching&as_brr=3&
ei=ifPrSsbqEYaSkATjy6XiCw#v=onepage&q=&f=false
  

 というわけでこの本もAmazonで注文しておくことにしよう・・・・
タグ:NLP Coaching
posted by Hiroshi Matsuo at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | NLP(Neuro Linguistic Programming) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月31日

ミンスキー博士の脳の探検

 今日は、個人的なメモ代わりに色々書いておきましょう。  

  先日、書店で見つけた最近翻訳されたばかりの「ミンスキー博士の脳の探検」、昼休みに一時間くらい立ち読みして、まだ購入したわけではないですが、個人的な趣味からしてかなり良い本だと思います。

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  ミンスキー博士といえば、ダートーマス会議の参加者でもある人工知能(AI)の大家であり、MITメディアラボの教授でもあるわけですが、個人的には、ミンスキーと聞くとまず思い出すのは後にオブジェクト指向プログラミング言語としての拡張も行われたLISPを思い出すわけでもあります。 

 もっとも、私が仕事としてアサインされたのはC++あたりからだったように記憶しています・・・・

http://ja.wikipedia.org/wiki/マービン・ミンスキー  

  そして、本書では著者が長年にわたって研究してきた、意識とは心とはといった疑問を著者独自の理論を駆使して説明しているのが「ミンスキー博士の脳の探検」ということになるのでしょう。
  

  もっとも、先日、認知言語学者であるジョージ・レイコフの講演を聴くと、物事の認知というのはフレームが存在することが前提になっているという内容が聞き取れますが・・・

http://tritune.seesaa.net/article/131085667.html?1256890479  

  個人的には、ミンスキーの有名な論文である・・・
 

http://web.media.mit.edu/~minsky/papers/Frames/frames.html
http://en.wikipedia.org/wiki/Frame_language 

 
の着想としてはどちらが先なのだろうという疑問が浮かんできます。もっとも、ミンスキーの認知科学的な立場はどうなのだろうかというのは、以下を読むと単純に機能主義やコネクショニストなのかを分けるのではなく、それを越えるアプローチがあるという意図にとったわけでついつい勝手なことを書いています。

http://web.media.mit.edu/~minsky/papers/SymbolicVs.Connectionist.html 

  それはさておき、ミンスキーのこういった単純に二値的な方法ではなく、もっと物事を上手く説明するやり方で脳のことをどう説明しているのかは内容を熟読した後の楽しみとしておきましょう。
 
posted by Hiroshi Matsuo at 18:11| Comment(0) | TrackBack(0) | NLP(Neuro Linguistic Programming) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする