なぜを五回繰返すTPSはいつでも正しいのか?
トヨタ生産方式、いわゆるTPS(Toyota Production System) などを勉強すると、問題や課題に遭遇したとき「なぜ」を五回繰返せ・・・というのがあることをご存知の方も多いでしょう。
http://tritune.seesaa.net/article/105651498.html
もっとも、この是非をとやかく言うつもりはないのですが、単に表面的なやり方だけを真似ると大抵失敗するということになるように思えますので、「なぜ」を五回繰返すということについても、ある前提をもとにして成り立つと考えたほうが良いのではないかとも思ってきます。
NLPやコーチングで「なぜ」を聞くなといっている理由は何か?
l 「地図は領土ではない」ではないという考え方もある
冒頭から余談ですが、最近読んだ山口裕之著「認知哲学―心と脳のエピステモロジー」の中でアフォーダンスについて書かれていますが、アフォーダンスは反表象主義(つまり、地図は領土ではないという主義ではない)ということについて書かれていて「環境が情報を持つ」という考え方には強く惹かれるわけなのですが・・・・。
http://ja.wikipedia.org/wiki/アフォーダンス
http://www.dan21.com/backnumber/no54/sasaki.html
l ここでは「地図は領土ではない」で考えよう
ここでは、この逆のNLPの前提であるコージブスキーの表象主義(地図は領土ではない)を思考の前提として、外的世界で起こることを Logic 、内的世界で起こることを Psycho-Logicとして考えてみましょう。
以下は、「User’s Manual for the Brain 」からの孫引きなのですが、Dennis Chong著「Don't Ask Why?! : A book about the Structure of Blame, Bad Communication and Miscommunication」 からの引用です。
http://www.amazon.com/Dont-Ask-Why-Communication-Miscommunication/dp/0969559402
Don't Ask Why: A Book About The Structure of Blame, Bad Communication And Miscommunication,point out that often when we ask the question "Why?" we are in fact looking for reason and explanations. They conclude that , " Once Your have the reason or explanation, you have thecause. You know what made you do it. The questions 'Why?' therefore seeks the elucidation of relationship between two classes of variables or things: the class of variables that are the cause and the class of variables that are the effects" (p.81) . Thus , asking "Why?", rather than looking solutions to be the problem, will often deepen the problem by eliciting reasonsand justification. User's Manual for the Brain P.145 |
簡単に要約しておくと、「なぜ」という質問は実際には、理由と説明を捜し始める。そして、理由と説明が分かると、それが原因だと思ってしまう。つまり「なぜ」という質問は、原因(クラス)と影響(クラス)の関係を見つけるためにある。そして、「なぜ」という質問は、解決策を見つけるよりも、理由と正当化によって問題を深堀する・・・・というようなことが書かれています。
l 状況によっては「なぜ」の質問は有効ではない
これからすると、やはり「なぜ」と聞くことは状況によって問題を孕んでいるように思えますが、個人的には上記にもあるようにPsycho-Logicの世界で以下のように認識するのが問題かなと思っています。
| 1. 解決フレームではなく問題フレームで物事を見てしまう。 (Sleight of Mouthが指向するフレームとは反対) 2. 将来どのようになっていれば良いのかではなく過去にフォーカスしてしまう。 3. コンテキストと直接関係のない自己弁護を行う正当化になってしまうことがある。つまり、事実確認において、問題がどのように起こったのかが歪曲されてしまう。コージブスキーの言うロジカル・レベルの混同が起こる。 ※コーチングの状況で「なぜ」の質問はコンテキストによらない、信念・価値観を確認する場合には有効なケースもある。 |
もっとも成熟度の高い組織だとこういう落とし穴に陥ることは少なくなるのかもしれませんが、やはり、EQのあまりない組織だと「なぜ」を聞いていると責任追及合戦になってしまって、本当の事実が何だったのか?を把握するのが難しくなってくるように思えます。
それで、結論としてはこれらを上手く回避するようにすれば良いような氣もしているわけですが、一例としては、
l 事実確認としてT.O.T.Eモデルに即した知覚についての質問を行う l ディルツの SCORE モデルを使って考える l 問題分析の後、解決策はTOCの前提条件ツリーを使って未来から現在の方向で考える l ニューロ・ロジカル・レベルでロジカル・レベルの混同を無くす l etc. |
というようなことを行えば良いのではないかと思っています。
結論として
「なぜ」を五回繰返すやり方は、TOYOTAのような成熟度の高い組織ならいざしらす、通常の組織ではそれに孕む問題を十分考えておかないと難しいのかもしれないなと・・・思ってきます。
http://www.zimbio.com/Boeing+787+Dreamliner/articles/6/Uh+Outsourcing+
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